岐阜県地方自治研究センターが2022年3月に発行の「関市のまちづくりの現状と課題」

岐阜県地方自治研究センターは1978年の発足以来、県内の地域での問題や政策に関わる研究や報告を続けてきた。飛騨や徳山などの共同調査も行っている(ホームページ参照)。さらにその取り組みを強化するために、自治体、大学と連携した調査事業を企画し、2021年度はその皮切りとして関市と協定を結んで「関市における地域づくりの現状と課題」をまとめた。

「関市のまちづくりの現状と課題」<はじめに>より

その調査報告会が、2022年8月8日に関市「せきてらす」で開催されました。

関市のまちづくりの現状と課題……

課題、何だろう……

ということで、調査報告会にお邪魔させてもらいました!

「関市の成り立ちと人口の動向」「関市の地域委員会について」富樫幸一さん

まずは、岐阜県地方自治研究センターの理事長でもあり、岐阜大学の教授でもある富樫先生の発表。

刃物産業や市民活動を調査、人口動態などの推移と比較。また、関市の各地域を実際にまわり、地域の委員会や団体にヒアリングした結果など、写真たっぷりにまとめてプレゼンくださいました。

そこからの考察と提案で、脳裏に残っているのが以下の2点です。

・登山道などの自然、お寺・遺跡などの歴史文化、各地域の財産を見直して住民で共有することが大切。

・関市では地域をまたいだ情報交換や連携があまり行われていない様子、つながる場づくりを。

岐阜県・他地域でのまちづくりについて、参考事例も話されました。

関市に限らず、どの地域でも課題となっているのが、まちづくりの担い手とつながりです

この日は、あさひ夢のまち協議会、桜が丘ふれあいまちづくり推進委員会、西部ふれあいのまちづくり推進委員会など、各地域の委員会の方々も参加されており、休憩タイムに色々お話を伺って「そんな取り組みをされているんですね!」 目から鱗がポロポロ…… まさに「つながる場」となっていました。

つながる場、大事ですね……!

「地域自治組織と地域おこし協力隊の相互関係性に関する検討~岐阜県関市を事例に~」甲斐智大さん

次に、富樫先生と同じ岐阜大学地域科学部・地理学の甲斐先生が発表。 

国として推し進めている、地方への人的支援の代表施策「地域おこし協力隊」。その協力隊員を担うのは、多くが地域外からやってくる人間。そのうち活動地域に定住するのは半数ほどの見込み(予定も含む)。

やる気で飛び込んでくる協力隊員、定住の合否はどこで決まる?

元々地域ごとのイベントや課題解決を担っている「地域委員会」との相互関係性は?

そこで甲斐先生は、岐阜県関市の旧町村地域を対象に「地域委員会の活動実態」「町おこし協力隊員のネットワーク拡大プロセス」について調査を実施。

刺激的な考察と提案が飛び交い、とても興味深かったです。

・関市自体の理念が見えない。併走できていないのでは?
・地域委員会に若い人がいない。協力隊員が若くても、地域委員会では人足的な参加、一定の距離感?
・各地域間の意見交換の機会が限定的すぎ?

連携を増やすことが大事! 協力隊員と地域委員会の連携、関市との連携、外部連携を増やすことが協力隊員のスキル獲得/強化につながる。

協力隊員の採用部分も大事! 地域委員会の求めるスキルと相性が良いと交流も円滑、定着率もUP。

「関市まちづくり協議会(民間団体)について」松田一浩さん

発表の最後は、関市まちづくり協議会メンバーでもあり、岐阜大学大学院地域科学研究科の学生でもある松田さん。松田さんは社会人を経て「地域をしっかり学びたい」と大学院生に。リカレント教育だ。かっこいい。

自身の所属する民間団体「関市まちづくり協議会」がどのように立ち上がったのか、どのように活動が変遷していったのか、調査結果をまとめて報告くださいました。

「関のまちを盛り上げよう」の初期から、リサイクル意識と刃物への地域理解を深める「刃物供養祭」、活動の中で「図書館がない」「救命救急センターがない」等の声を聞き行政への提言や誘致活動へ……

ここの詳しい内容について、冊子はもちろん、関市まちづくり協議会のホームページ「活動履歴」(松田さんの原稿がベース)でも読むことができます。

現在は、市民意識を高める活動を軸として「マニフェスト型公開討論会」「投票率アップ作戦」「候補者アンケート」「議員とのワークショップ」などを企画実施。

「市民がボランティアを通じて地域循環型社会を作ることができるか」

他の地域を見渡しても、都市計画や自治体との絡みで作られたまちづくり団体はあれど、純粋に市民だけで立ち上がり市民のことに向き合う団体は珍しいそうです。

昔と異なり、団体の方針も様々、交流の形式もSNSなど多様化する現代ですが、「つながりを見つけて発展させられる団体としてあり続けたい」と力強い言葉がありました。

「関市のまちづくりの現状と課題」オンラインなら無料で読めます👀

「関市のまちづくりの現状と課題」には、他にも読み応えある論文が並んでいます。

「関のまちづくり団体として NPO 法人ぶうめらんの取組み」北村隆幸=特定非営利活動法人せき・まちづくり NPO 法人ぶうめらん代表理事

「関市自治基本条例と運用」三谷 晋=岐阜大学地域科学部 行政法・地方自治法・環境法

「地方議会改革と議員報酬に関する一考察〜関市の取り組みに寄せて」山本公徳=岐阜大学地域科学部 行政学

「関市の自然環境と希少生物>の保全」向井貴彦=岐阜大学地域科学部生態学

などなど……

興味のわいた方は岐阜県地方自治研究センターHPで閲覧または紙冊子を入手してみてください。

「つながり」という課題

発表すべてを通して「つながり」というキーワードが残りました。

まちづくりにとって、少子高齢化や共働き増加に伴う昼間人口の減少といった長期的な「つながりにくくなっていく」課題に、ここ数年のコロナ禍での「交流しにくい」問題

きっと関市だけでなく、どこの地域も同じ課題を抱えている気がします。

SNSなど交流ツールが増えたらつながれる!わけでもなく、人と人を同じ場に入れたらつながれる!わけでもなく……容易ではないとしても、自分たちの身近なところから少しずつ「つながり」「つながる場」作っていけたらいいですね!

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