身体の性、心の性。多くの人は心身の性が一致し、異性を好きになります。でも、そうでない人たちもいる。
LGBT/LGBTQなど、セクシュアルマイノリティ(性的少数者)に関する言葉もごく身近になり、性別欄に「その他」「無回答」の選択肢が並ぶのが当然となりつつある現在。少しずつ知識は深まりますが、「壁の向こう側、自分とは関係ない別の世界の話」として消費してしまっている気もします。
岐阜県関市にもLGBT(セクマイ)団体「レイニーオーレ」があると知り、代表の真(まこと)さんにお話を伺ってきました。
レイニーオーレのメンバーは、代表の真さんと副代表のあんなさんの2人。関市役所市民協働課の方々と地元のLGBT当事者としてつながり、レイニーオーレ立ち上げの勇気と支援をもらったそう。
「立ち上げ時からの約束は『無理せずに続けよう』ですね。LGBTについて、メディア等ではセンセーショナルな部分ばかりが切り取られがちですが、センセーショナルな表現や見せ方は避けるようにしています。子どもたちが安心して情報に触れられるよう、クリーンさを大切にしたいんです。性に関する感情は、センセーショナルなことではなく、ただ普通のことだから」
レイニーオーレの活動を始めたのは「子どもたちに伝えたい」という想いから。学校に出張するなど子どもたちが多様な性と向き合う場づくりを行っています。
活動を続ける中で、LGBT当事者同士の悩み相談会や、地域の方々が多様な性のあり方を知る勉強会などにも呼ばれるようになりました。
「自分は小学生の頃から身体の性に違和感があり、『自分っておかしいの? ダメなの?』とずっと思っていました。きっと今も、同じように悩んでいる子どもたちがいる。『そんなこと思わなくていいよ、あなたはあなただよ』と伝えていきたいです」
東京に住んでいたこともある真さん。
「東京でも大阪でも名古屋でも、同じように自分の性に悩んでいる同士と出会いやすいです。リアルなつながりが気軽に作りやすい反面、その共通点に依存しすぎたり、傷つけ合って別れることも少なくない、それが都市での悩みかもしれません」
「一回でも男性と付き合ったらレズビアンじゃない」など、セクシャルマイノリティ同士で差別が起こることも。
「ヘイトをぶつけ合ってしまう環境を、少しでも変えていきたいです」
地方では、「どこにも相談できない」「(親や近所の目など)そもそもカミングアウトできない」といった悩みが現在もトップだといいます。
「こうして地元でLGBTサークルを立ち上げたものの、身近な当事者とつながりたくても、関市内の方は関市外につながりを求めます。あとは、SNSなどのネットですね」
「一般的でないセクシュアリティは、隠すべき恥ずかしいもの」という偏見や思い込みがある限り、自分の暮らす地域でオープンには語りにくい。
「望月もちぎさんの漫画『ゲイ風俗のもちぎさん セクシュアリティは人生だ。』に人気が集まったり、多様な性への関心や自由に語り合える社会への期待はあるんですよね」
身体の性と自分の感じる性が異なるトランスジェンダーの真さん。
あんなさんは異性も同性も恋愛対象となるバイセクシュアル。
「LGBT当事者だと話すと、なぜか『自分を狙わないでね』『手当たり次第なんでしょ』といった偏見で見られることも少なくないです」
多くの人々も異性を恋愛対象(性的対象)として生きていますが、「狙わないでね」とわざわざ言い合わないし、異性なら誰でもOK!ではありませんよね。誰にだって好みがある。当然のこと。
最近、真さんは「自分はトランスジェンダーの中でも、Xジェンダー(男女いずれにも当てはまらない性)で、パンセクシュアル(全性愛者、恋愛対象が性別で限定されない)かもしれない」と感じているそうです。
「自分にも思い込みがあって、今ある枠にこだわりすぎていたと気づくこともあります。その時々で変化していく自分もいます。性は自分で感じるもの、いつも一緒でもいいし、いつ変わったっていいんです」
「SOGI(ソジ)」というキーワード、皆さんもご存知でしょうか。
「Sexual Orientation and Gender Identity(性的指向と性自認)」の頭文字をとった言葉で、「どんな性に恋愛感情や性的感情を抱くか」「自らをどんな性と認識しているか」を示す概念のこと。
「LGBTというと性的マイノリティの話に見えてしまいますが、大切なのは性的志向と性自認に向き合うことだと思っています。SOGIは、誰もが持っているんですよね。異性を好きになることも性的志向、その延長線上にマイノリティとマジョリティがあるだけです」
男の子が可愛い服を着てもいい、女の子が野球をしてもいい、自分の好きに自信を持って行動できること。誰もが自分らしさを大切にしていられること。
レイニーオーレの活動の源泉は、やはり今育っている子どもたちのフォローにあると真さんは振り返りました。
「『みんな自分らしくいて、いいんだよ』
これからもずっと、そう伝えていきたいですね」
お話を聞いていて、自分の性についても改めて向き合ってみたくなりました。
レイニーオーレの活動を応援しています。
「誰にも相談できない」「傷つけ合ってしまう」悩みが少しでも軽くなりますように。
岐阜県関市で、それぞれのSOGIを気兼ねなく表現し合えるようになりますように。
関市役所公式ホームページより:
LGBTフレンドリーに関する取り組み~日本一幸せなまちを目指して~
https://www.city.seki.lg.jp/0000015475.html
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