2020年夏、さんやほうサポータークラブとあさひ夢のまち協議会の「田んぼの生き物調査」に参加しました。

それ以来、関市の地酒「さんやほう」のファン(消費者)と化し、晩酌やプレゼントに重宝していましたが、美濃加茂市で「無農薬米」に挑戦されている方のお話が大変興味深く……

さんやほうの原料も無農薬米。その道のり、関市の田んぼ状況についても改めて聞きたくなってきた……!」

……そんな突然のラブレターに答えてくださり、さんやほうサポータークラブ事務局の山下さんにお話を伺うことができました(ありがとうございます!)。

さんやほうには、予想以上に熱い若手の歴史がありました。

1983年、40代の自営農家が、独自で育種した「みのにしき」

約50年前。

日本の米は過剰生産となっており、銘柄米が存在しない関市の米は安く取引される状況が続いていたそうです。

「何とか状況を変えたい、関の農家の役に立ちたい」

関市小瀬で米作りをされていた当時30代の尾関二郎さんが、独学と試行錯誤で、新しい品種育成に挑戦を開始。

十数年後の1983年、「みのにしき」の育種に成功。1983年に品種登録され、岐阜県の奨励品種となりました。

お米の品種改良は県などの機関がほとんど、個人での品種改良も珍しければ、民間で創られた品種が自治体の奨励品種となっているのは、日本全国できわめて稀だそうです。

尾関二郎さんは、その後も引き続き育種に挑まれ、「民間部門農林水産研究開発功績者」「農業技術の匠(農林水産省)」など様々な受賞や認定をされています。これまでの開発品種は、ニホンマサリ×ハツシモで「みのにしき」、あきたこまち×みのにしきで「ななひかり」「すえあかり」「爽涼の風」、2006年に登録申請の「オゼキ」(葵の風×ミルキークイーン)など。

農林水産技術会議(https://www.affrc.maff.go.jp/docs/press/2006/pdf/press_061116a.pdf)より

「オゼキ」は父を「葵の風」、母を「ミルキークイーン」に持ち、全国に通用する岐阜県産独自のブランド米を誕生させることを目指して10年越しで改良を重ねてきたもの。改良には「コシヒカリにとってかわるものを」と、品種特性の目標設定をコシヒカリに置いてきた。2004年に品種登録を申請した「オゼキ」の特性試験用の3ha分の収穫を終えた。品種特性が公表されるのは来年(2007年)2月以降の見通しだという。

農業経営者Webサイト(https://agri-biz.jp/item/detail/476?item_type=1)より

(「オゼキ」の状況も気になります)

そんな個人の努力の賜物「みのにしき」誕生から、11年後。

1994年、40代の兼業農家が、農業交流企画に私田を提供

26年前。日本全国で課題となっている地域農業の後継者不足や弱体化、その改善事業に関市も着手。

そんな1994年、市の職員でもあり兼業農家でもあった若き山下さんが「うちの田んぼを使って地域で米づくりしたら、新たな交流や活性化につながるかも」と、水田の一部提供を決めたのが「米に親しむふれあい農園」の始まり。

自分の土地を地域にシェア…… 公私が溶けていますよね(感動)。

農薬を使わない有機栽培を目指し、最初は「紙マルチ=田んぼに敷き詰めた紙に穴をあけて苗/紙で雑草の成長を阻む」を試したそうですが、「手間もお金もかかるし、けっきょく雑草も生えて……」 現在は、米ぬかをまく除草方法に切り替えられています。それでも雑草はグングン生えてくるそうで、「有機は、草取りが本当に大変です!!!」

ところで昔、関市には造り酒屋が14もあったそうですが、今はゼロ。川あり山あり田んぼあり、地酒の似合う空気が漂っているのに…… と、同じことを考えている方はいますね。

1997年、試行錯誤の有機米づくりで収穫できた「みのにしき」を前に飛び出したアイディアが

この有機米を使って、関市ならではの日本酒を再興できたらいいね」

ご縁のあった美濃市・小坂酒造さんに相談したところ、「食べる米で日本酒を造るなんて、聞いたことがない」 日本酒はお酒専用の米で造るのが常識、当時、食べる米で造られた日本酒は店頭に存在しなかったそうです。

前例はない、でも、やってみましょうか。みのにしきを掛け米(※1)に使って醸造してみましょう」

1998年、初の「みのにしき」を使った日本酒が誕生。

画家でもあった故・後藤昭夫元関市長が、五穀豊穣を祈る関市倉知まつりでの掛け声「さんやほー(山野豊)」に因んで「さんやほう」と命名、ラベルデザインも制作されたそうです。

そこから20年、小坂酒造さんの尽力と技術により、現在の「さんやほう」は掛け米も麹米(※1)も「みのにしき」100%となり、田んぼの面積も増え、20周年を祝したテーマソングもできました。

※1……日本酒に使われるお米は、掛け米・麹米(酒母米)、品種や精米歩合が違うこともある

約40年前の熱意、約30年前の地域貢献の想い、そこに、小坂酒造さんや「さんやほうサポーター」さんや、多くの方々の力が繋がって誕生した「さんやほう」。

しかし、今年は……

天候で、打撃を受けている「さんやほう」

長雨と高温の続いた2020年は、農業に厳しい年でした。

「去年は97aの田んぼで40俵以上を収穫しましたが、今年は33俵。1反で考えた際、10俵を収穫できたら畝取り(せどり)(※2)ですが普通は7~8俵、さんやほうの田んぼは平年5~7俵、今年は3俵、完全に不作です

※2……田んぼ1枚=300坪=1反=10a=10畝。「1畝(ひとせ)で1俵=60㎏」取れたら満足と言われる(畝取り)。

1俵のお米から、だいたい40本前後の日本酒ができるそうです。

我が家でもおおいに消費中の「さんやほう」、不作のお話を伺い、来年は流通が不足するかと心配したのですが、

「今年はコロナ禍で、地域のイベントやお祭りもなくなり、飲食店の利用者も減りました。そのため酒全体の消費が低下とも聞き、流通が不足することはないように思います。しかし、さんやほうサポータークラブの活動継続を考えると……人手をかけた末に不作となってしまう現実は、課題です」

「そんな現下でも、さんやほうや地域の酒蔵を応援してくださるファンの皆さんが、本当に心強くありがたいです」

美味しいお酒、たくさん飲もう!!!(※3)

※3……お酒は用法・用量を守って正しくお使いください。

大事な歴史のつまった関市の地酒のこと、周囲にたくさん伝えよう!

市外からも参加OK! 「さんやほう」を一緒につくろう

呑めなくても、関市外でも、さんやほう造りを支える「さんやほうサポーター」は、誰でも大歓迎。

中心サポーター約5名と年間サポーターで平均40名強、原料の「みのにしき」を一年かけてつくっていきます。遠くは関東・川崎や、赴任中の海外の方なども参加。

サポーター会費は年1,500円、田植えや稲刈り、洗米体験に「新酒を味わう会」、参加ポイントに合わせた特典は「サポーターだけが購入できる、さんやほうの原酒」

(原酒……ゴクリ。来年、参加するしかないのでは?)

2020年のサポーター募集チラシ。やっぱり草取りのポイントが高い。

来年2021年のチラシは準備中とのことです。入手次第、関さんぽでもお伝えしますが、待ちきれない方は、さんやほうサポータークラブ事務局までお問い合わせください。

さらなる関市の地酒情報。「造り酒屋」が再誕する!? 

平成30年12月、農家が自家製のどぶろくを提供できる「どぶろく特区」となった関市。

「酒づくりでにぎわいのあるまちへ」 第2章が始まるようですよ……!

小瀬鵜飼の鵜匠、足立さん試作重ねる|どぶろく造り

鵜匠が造る! 『どぶろく』名称大募集!

応募はおハガキまたはWebフォームから、2021年1月31日まで。
名称が採用されたら、どぶろく試飲+鵜の家足立のお食事券+鵜飼観覧船乗船券……😍

「口当たりが爽やかでほのかに甘い、そんな優しいお酒にしたいと思っています」

地域の新しい文化を拓いたのは過去の若者たち

「さんやほう」は、熱意ある当時の若手が、10年・20年と辛抱強く創り繋いできた成果でした。そして今も。

「自分の子どもたちが、農業やこの取り組みを継ぐかどうかは分かりません。自分自身も、親が現役で農業をやっているときは関わらない未来を描いていました。でも、実際に関わってみて、自分で舵を取れるほどになったら、農業も面白くなったんですよね。草取りは大変ですけど(笑)」(山下さん)

「前例はない、でも、やってみよう」

未来は創れる、一緒に創っていきましょう。

※関市の田んぼ状況についても伺えましたが、こちらは別の機会に特集記事を組めたらと思います。お待ちください。

場所の紹介

さんやほうサポータークラブ(有機米づくり)

地酒「さんやほう」を購入できる場所

関市中心部では、酒屋さん以外に「関口駅前のローソン」「山憲商店」「トライアル」などで、購入できます。(他の場所もご存じの方、教えてくださいm(__)m)



関さんぽ

岐阜県関市と隣接する市町村を、一緒に散歩しましょう!